山スキー記録・2006.5.3(水)〜4(木)木曽御嶽・13年ぶりの息子連れ・快晴の大滑降 ◆ブラウザの「戻る」で戻って下さい。

平成18(2006)年5月3日(水)〜4日(木)
木曽御嶽・13年ぶりの息子連れ・快晴の大滑降



◇時々加筆修正中です。またあとでごらん下さい。
山スキーの記録
5月3(水)/快晴・暖か
 山スキーも年々仲間が集まりにくくなって、連休には山中泊で大規模な山スキー、というのもいつの間にか過去の夢になってしまった。今年も連休中はメンバーが揃わなかったが、残雪も多くて7日まではスキー場が営業しているから、急遽、地方赴任で帰省中の息子に付き合わせて、木曽御嶽へ行ってきた。木曽御嶽は何度か行っているが、息子連れは実に13年ぶりになる。
 12:00発あずさ17号、257系はちょっとつまらない車輌。車内はほぼ満席で立っている人が10名程度。甲府から空き始め、岡屋あたりではもう立つ必要がない状態だが、デッキには人が溢れていて、トイレに行くのが嫌。座れば良いのに〜。
 勝沼からは、以前は南の車窓にすばらしい丘が見えた。武田真玄が軍を率いてここに至りこの山を見て欲情したと言われるほど、まさに女体を思わせるなだらかな山容だった(中央線の車掌で登山家だった山村正光氏の名著「車窓の山旅・中央線から見える山」/実業之日本社/1985/に詳しい)が、勝沼葡萄の里だか何だかの施設が出来てしまって、しかも年々施設が増強されつつあって、もう女体を思わせるなだらかな山容などはすっかり破壊されつくした。こんな愚行が観光開発だと思っているセンスが許せない。
 しばらくした後、昼食。小生は柿の葉鮨、息子は深川飯。ビールがぬるくなっていたが、それぞれ美味しくいただいた。八ヶ岳も南アルプスもまさに絶景。それこそ車窓の山旅である。
 あすざは257系、どうもこの車輌は魅力いまいち。塩尻14:35着、14:42発の313系各停に乗り換える。ワンマン2連で後の車輌は普通の駅(無人駅)ではドアが開かない。前回の日記によれば、木曾福島では全ドアが開いたとあったから大丈夫だろうとは思うが、心配そうな素振りをしていたら地元乗客が「開くよ」と教えてくれた。
 塩尻から数駅、奈良井と薮原の間で分水嶺を越え、中央本線は木曽川流域に入る。沿線は桜が満開をやや過ぎた状態だったが、山に分け入ると次第に満開になってくる。いつも春スキーでは、東京ではとうに終わった満開の桜を楽しんでいる。15:28木曾福島着。
 バスの切符を買う際に、なぜ八海山までバスが行かなくなったのかと聞いたら、「王滝村が補助金を出せなくなったから」だそうだ。これこそ地方切り捨て政治の結果。バスまで時間があるので、駅前の店に入ってコーヒーを注文したら、やたら時間がかかってやきもきする。
 急いでコーヒーを飲んだら、宿に確認の電話を入れ、駅前広場の真ん中のペンキで書いただけの安全地帯でバスを待つ。程なく16:02発の王滝行き小型車体のバスが来た。
 バスは今日もダムの橋を渡って病院へ寄るが、乗降なし。乗客はほんの数名だけ。これじゃとうてい採算は取れない。鉄道もそうだが、公共交通機関は採算だけで存続を決めるべきではなかろう。
 沿線には王滝森林鉄道の遺構(トンネルや橋脚・橋台)がまだ残っている。山へ入るとまだ満開の桜。
 16:44に王滝バスターミナルへ着いたら、いつも宿に決めているペンションの車が既に待っていた。村外れにこの宿まで「あと11q」の標識がある。車内では、いろいろ山村の状況や地方切り捨て行政や東京・横浜の事情などについて話す。
 途中で御嶽が真正面 に見えるスポット。思わずカメラを向けると、主人は車を止めてくれた。やがて、まだ残雪のあるペンションへ。
 このペンションには今日は合計7組が泊る。浴室は少々込んでいたから、少し遅らせてから入浴。ずっとシャワーを出しっ放しで体を洗っている若者が気になるが、注意してトラブルになるのは嫌だから見て見ぬふり。しかしこのペンションの経営者の立場になって見れば、お湯を沸かすには燃料が要るし、石油は高騰している。湯水の無駄使いはやめるべきだ。
 部屋(203)からは見事なパノラマで、右手には中央アルプスがじつにきれいに望める。宝剣岳が尖って見えるが、そう言えばあの山の向こう側にある千畳敷カールも滑ったことがある。しかし、あれから既に30年、う〜む馬齢を重ねてしまったもんだ。
 夕食はいつもどおりかなり豪勢で、この他に更にフィレステーキが出る。出されたものを残してはいけないと躾られた世代にとっては、ペープルルチケッタ状態。他のグループはさっさと部屋へ戻ってしまい、ゆっくり酒を飲んでいるのは2〜3のテーブルだけ。
 やや飲み過ぎたのか、息子はさっさと寝てしまった。21時、TVの100円玉が切れたのを機に小生も寝ようとするが、こんな時間に寝る習慣が無いから、深夜に目覚める。星空を見てあまりの星の多さにびっくり。天の川がくっきり見える。北天の星だが、どれがどれだか分からないぐらい星が多い。今までにも星空は見て来たが、こんな空は久しぶりである。ただしこのデジカメでは星野撮影は無理。写真は寝る前(19:48)に撮った三日月
5月4(木)/快晴・暖か
 今日はいよいよ大滑降。天候にも雪質にも恵まれ、御嶽にこれまで5回来た内で、今回が最高のコンディションだった。
 あまり眠れなかったが、まさか高山病(標高1650mなのに)?。06時過ぎに起きてしまった。荷物は空室に置かせてもらって、08:00宿を出る
 階段を登り、宿の主人に勧められたゲレンデに近くて便利な方のレンタルショップへ。息子はスキー用具を持っていないから、借りねばならない。レンタル靴にはリアエントリーでバックル1つだけで、とうてい登山に使えないタイプが多いが、バックルがたくさん付いたタイプの靴を借りることが出来た。ゴンドラの片道券を買い、辛うじて売切れていなかった茶+水のペットボトルを2本ずつ買って、運転開始を待つ。
 08:30にシャッターが開き、運転開始したゴンドラに、待っていた登山客が一斉に乗る。並んだ客がひとしきり乗ってしまうと、あとは殆ど人がいない。これじゃこのスキー場も儲かりませんなあ。
 ゴンドラは結構乗りでがある(鉄柱22本、15分ぐらい)。山頂駅(三笠山2256m山頂の下、2230mぐらい)では、例によって登山カードは、ポストがあっても用紙が無いから、省略。スキーを履いて09:00滑降開始、おっと、これが今シーズン初滑りである。雪質は良い。
 三笠山からは一瞬の滑降で田の原(≒2200m)へ、ここでスキーを引く準備をする。息子の借りたスキーは当然ながらトップに孔が無い。流れ止めを上げて縛っておき、ビンディングを紐で巻くように縛ったら、何とか引いて行けそう。実際には時々ひっくり返ったりスキーの上に雪が溜まったりして、案外苦労したようだ。09:20歩き出す。正面に雄大な御嶽、う〜む良い。
 程なく鳥居へ。積雪が多いが、何とか頭を打たずにくぐることができた。ここから先は樹林帯の緩い登りになる。ここはもう何度も来た道である。
 樹林帯を抜けて、10:12ごろ雪田に出る。雪はフィルムクラスト状態で、滑降には最適。下りが楽しみである。
 09:50休憩、10:25休憩、11:00休憩。こういうペース(30分歩いて5分休憩)で行けば、案外楽である。今日の王滝口からの入山者は、登山が十数名(王滝頂上から剣が峰方面を見たら10人以上登っているのが見えたから、もう少しいたかもしれない)、山スキーは数名で、殆どがシール登高。みんな頂上までシールで登り切っていた。紐でスキーを引いて登っているのは我々だけだが、経験上はこれが一番楽。
 夏道沿いに登る者、雪田を直登する者、ジグザグに登る者、シールで大きく斜めに登る者、シールで直登する者など、それぞれ思い思いのコースで登っている。この山は雪崩の心配があまり無いそうだ。次第に疲れてきて、何歩か登っては立ち止まって休憩する始末だが、気付けば、いつ見ても、視野にいる10人ほどの登山者がみんな止まって休んでいる(笑)
 12:00休憩、あと僅かで王滝頂上なのだが、なかなか着かない。息子は股関節が痛くて脚を持ち上げるのが辛いと言い、だいぶペースが落ちてきたが、大きく遅れることなく何とか付いて来ている。
 12:15王滝頂上(2936m)に着いて、神社の屋根(縦方向に長い1枚の板を数枚重ねた板葺き)の棟に座って昼食+休憩。小生は何だか疲れておにぎり1ヶ半でギブアップ。ずっとオーロンTシャツ+薄手毛シャツで登っていたが、ちょっと風があるとやはり寒いから、ここでセーターを着る。しかしまだTシャツ1枚で登っている男がいる。
 12:35ごろ出発しようとしたら、さっきから時々話し掛けて来ていた中年女性が、彼女の方から「撮ってあげる」と、この親子登山客に親切にしてくれた。たしかに、良い大人の親子山スキーは、他から見たら微笑ましくも羨ましいものかもしれない。
 木曾福島からほぼ同じ距離にある御嶽ロープウェイスキー場(2つ北の尾根にあるスキー場)からの尾根にも雪は続いていて、そっちから登ってくる山スキーヤーもかなりいた。残雪量も斜面の様子も、王滝口の方が良いという印象だが、一度あっちからも登って見たい気はする。
 木曽御嶽の最高峰、剣が峰の頂上までは、あと僅か。岩が出ている箇所もあるが、スキーは紐で引いたまま強引に登る。最初に来た時にはごうごうと吹出していた火山噴気はすっかりおさまっているが、やはりここは火山で硫黄臭く、銅像は硫化銅で真っ黒。
 13:20剣が峰山頂(3063m)へ。へたり込んで休憩。写真は人に頼んで撮ってもらう。ロープウェイスキー場からは、スキー組が2〜3パーティー、10人以上登って来ている。王滝口の方がスキー的だと思うが、スキー客はロープウェイ側の方が多いのは何故だろう。
 頂上でじゅうぶん休んで、13:40出発準備。最高地点の神社階段上からの滑降はちょっと無理かと思ったが、今年は雪が多いので、左手へ回ったら雪がつながっている。まさに3000m超からの大滑降であるが、登って来る人が邪魔で、なかなか滑り出せない。何とか階段脇を滑って1段下ったところでしばしガス待ちの後、13:50出発。
 まずは王滝山頂までの滑降である。いつもカメラを持っているから自分が写った写真が殆ど無いのだが、今回は息子にカメラを託して撮ってもらう。写真を撮るために止まったりしながらだが、ものの5分で王滝頂上へ。ちょっと登り返して左から回り込めば、いよいよ大斜面へ出る。ここから大滑降である。
 14:00いよいよ大滑降開始。何度か写真用のストップをしながらも、大斜面の下まではものの数分(8分程度)、あっけないようだが、この「止まるのがもったいない」豪快な滑りこそが山スキーの醍醐味なのである。
 雄大な斜面を大滑降する様子については、大きい写真(上方王滝山頂を望む下方三笠山を望む)もご覧あれ(ブラウザの「戻る」で戻って下さい)
 時々カメラ係を交替しながら、気持が良い大斜面をじゃんじゃん下る。息子もスキーは久しぶりの筈だが、絶好調に滑っている。だってこんなに滑りやすい雪だもの。本当に止まるのが惜しい。
 大斜面の滑降後は樹林帯へ入る。快適な滑降を少しでも余計にすべく、いつもは(上から見て)右手の沢を滑ってから薮の中の登山道へ戻るが、今日は左手の沢にシュプールがあったので、そっちを滑ってみた。いずれのコースでも、沢を下りすぎないように注意して夏道へ戻る必要がある。
 その後はかなりコクのある濃密なブッシュ帯だが、息子は半ば動物的なカンで、かなりのスピードで樹間を飛ばしている。たしかに、無数の踏み跡だらけでぐしゃぐしゃの登山道よりも、薮スキーの方が山気分は満点なので、小生も薮スキーを楽しむ。昔はこんな薮スキーをよくやったものだ。
 薮を苦労して抜けて、14:20ごろ鳥居をくぐる。あとはストックで平地滑走、暑い、腕が疲れる、面倒臭い。14:30田の原に帰着。そのままばたばたとスキーで登って道路(つまりゲレンデ)へ出る。
 振り返ると雄大な御嶽が聳えていて、なかなか良い眺めである。ほんのさっき滑って来た大斜面に自分の滑ったコースを目で追う。実に大満足、まさに大滑降だった。以前、山スキー現役時代には、同じコースには原則的に行かず、常に新しいコースを滑るようにしていたものだが、昨今では同じ御嶽が続いている。やむを得ない結果ではあるが、何度来ても楽しいコースは楽しいから、それも良い。でも次回ぐらいは別のところに行きたい。
 田の原からはスキー場の初心者コース(つまり車道)滑降。雪質は重く、斜度が無いため、立っているだけでは前進しないから、スケーティングかストック漕ぎをせねばならない。しかしあまりストック滑走をすると、中学3年生の時(高校受験直前、右腕だから受験勉強は殆ど出来なかった)に鉄棒から飛び降り損ねて脱臼骨折した右肘の上膊内か[骨果](プロツェッスス・エピコンディルス・メディアヌスだかラテラリスだか)の古傷が痛くなる。ところどころ雪面に水溜まりが出来ていて水上スキー状態。
 途中からゲレンデへ出る。今年はずいぶん空いている印象。耕されたザラメ雪は重くて滑りにくく、外エッジを取られながらも、スピードだけは出る。前回はコース最後の方は滑走部部分だけ雪が掻き寄せてあって辛うじてつながっている、という状態だったが、今年は残雪がたっぷりで、ゴンドラ下部まで雪は一応ちゃんと続いていた。まるで春休みのスキーのようだ。
 14:53、ゴンドラ駅の脇の雪の舌端の真っ黒なところまで滑って、今日の大滑降はぶじ終了。通り掛かった人に記念写真を撮ってもらう。滑降標高差1380m程度を約1時間で滑ったことになる。う〜む、大満足。
 レンタルスキーを返し、八海山神社の御霊水(相変わらずぬるい)を飲んだりして、暖かい陽射しを浴びながら宿へ戻る。温泉に入って、着替えて、洗って外で乾かしてあったスキー靴をザックにしまい、スキーをケースに納める。スキーのソールは樹脂でねとねとだが、帰ってから洗おう。
 さて、帰りもバス終点の王滝までの足が無い。タクシーで帰る客もいたが、我々は宿の主人の好意で、王滝バス停まで送って貰った。道すがらいろいろお喋りしながらの、楽しいドライブであった。歩けば2時間半、タクシーの場合は木曾福島から呼ばねばならない(9500円ほど)。ご主人、ありがとうございました。
 16:50発の木曾福島行きのバスまで時間があったから、すぐ近所にある酒コンビニ店で地酒(中乗りさん、七笑など)3本買込む。店のおばさんと喋っていたら、名物は何もないねえと絶望的なことを言いながらも、秋に「すんき」(すぐき?)をどの家庭でも漬けると言う。どんな漬け物か聞いてみると、赤蕪の葉を塩気は使わず発酵させると言うから、やはり「すぐき」のことだった。どの家庭でも漬けているそうだが、今の時期には入手不可能。このスキー場はスケールが大きく、ゲレンデスキーとしてもまずまずの満足は得られそうだから、(客が来なくなって廃業になる前に、おっと縁起でもない)シーズン中にも来てみたい、無論その漬け物のために。
 木曾福島行きのバスは、往きに乗った便の折り返しで16:50発。乗客は全4人。2人は地元客。息子は爆睡中で、小生だけがカメラ片手に外の景色を凝視し続ける。古い橋の跡や、発電所など興味深いものが多々ある。往きに発見した石置き屋根は残念ながら撮影し逸れたが、次回来た際に残存している保証は無い。そんな景色の中を、バスは淡々と走って木曾福島に17:32着。塩尻からスーパーあずさ34号の指定が取れた。
 17:44発の各停で18:28塩尻着。駅の立喰蕎麦屋で、葉わさび(+卵)入り蕎麦。インスタント系の蕎麦はぐちゃぐちゃで不味かったが、葉山葵は頗る旨かった。
 スーパーあずさは結構こんでいる。指定を取ったのは正解だった。車内では早速酒盛り。3本買った内の1本、スルメと、車販の牛タン。1時間まちがえてあと20分ぐらいだと思った時点で、まだ若干飲み足りないので、車販でウィスキーを注文してみた。車販ガールはジョニ赤を瓶からどぼどぼと景気良く注いで、水割りなのにもう水が入らないぐらい。その後、時間の読み違いに気付いて、その殆どストレートのウィスキーを空けてから、結局また次の日本酒を開ける。
 21:06新宿着。歩くのが面倒で、駅でタクシーにスキーを積み込むのも億劫だから、家人に新宿まで迎えに来てもらった。帰宅したら、山で飲んでいた水のペットボトルが気圧差でひしゃげていた。
 かくして絶好調の木曽御嶽大滑降はぶじ完了。さて来年も行けると良いが。
 ◇費用メモ(2人分)◇ 交通費:35,900、飲食:9,660、宿:25,740、貸スキー3,500。

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