日程:1977.1.23(日)
参加者:NABE、Y本、Hら
コース:上野→塩沢駅→(taxi)→一本杉(リフト2本登る)→歩いたり滑ったり→大沢駅→上野
1977.1.23(日)晴天・無風
「雪の峠」シリーズ
いろいろ山スキーをやっているうちに、リーダーのY先生から、峠を越える渋いツアーをシリーズでやろうという発案があった。岡田きしゅうの本には、歴史と民俗を感じさせる人間臭い峠越えの話があるが、我々はスキーが目的だから、名のある峠で自動車交通が冬期閉鎖のところを探そうということになった。全国道路地図を買ってきたところ、冬期閉鎖の雪マークがついた結構有名そうな峠が、上信越から東北にたくさんあるではないか。これは結構良い狙いだったようだ。しかしこういう峠も除雪が進んで通年自動車通行可能になってしまう可能性がある。あまりのんびり構えている訳にはいかない。そこでさっそく実行。
上越・魚沼丘陵の峠に着目
その第1弾、まずは手近な上越で探す。魚沼丘陵には、上越線のある六日町側と、飯田線のある十日町側を結ぶ、峠道がいろいろある。例えば越後湯沢の北に目を向けると、5万分の一地形図「十日町」1枚にも、大沢峠・栃窪峠・八箇峠・清水峠・四十日峠・村尾峠と、あるある。そこで、塩沢駅から栃窪峠を越え、山の向うの集落に達したらすぐに大沢峠を越えて戻ってくるコースを設定した。これなら日帰り可能。他にもいくつかスキーで越えられそうな峠がある。
さて出発、だが大雪の後
関東平野は曇で、雪も降ったらしい。しかし清水トンネルを越えると晴天・無風で、まずまずの天候。塩沢駅からタクシーで一本杉スキー場へ、リフトを2本乗り継いで、10:30ごろ栃窪集落からシールで歩き出す。新雪がだいぶ積もっていて、シールに雪がくっついて重くてたまらない。このころはまだ貼り付けシールはなく、ゴム紐で取り付ける方式だったから、シールとスキーの間に雪が詰って丸太ん棒のようになってしまう。林道をひたすら栃窪峠へ向かう。最初は張切って、ちょっと無駄なラッセルをしたが、途中から幅広の踏み跡を見付けた。新雪が増えてきて、スキーを履いても30cmほど潜る。ちなみにツボ足で歩いてみたら、モモまで潜った。栃窪峠で昼食(12:00〜30)。
峠からは魚沼スカイラインとかいう標識があって、稜線にも自動車道路があるが、無論現在は深い雪に埋もれている。我々は峠を越えに来たんだから、さらに下ろう。シールを外して林道のカーブををショートカットしながら滑降するが、途中から段々畑だかたんぼだかになって、滑りにくいったらありゃしない。前につんのめると締具が外れ、後に転ぶと登山靴の前コバが締具から外れる。たしかこの時はビネルサという金具を使っていたと思うが、あれは登山靴では無理があった。踵の止め金にはスプリングが入っているが、これが邪魔で登りでは踵が充分上がらず、外すと今度はヒンジ位置が前にありすぎてスキーを持ち上げてもテールが付いて来ないから、歩きにくい。つま先のコバが出ていない登山靴では、うまく引っ掛からない。そのうち兼用靴で歩くようになったが、その時はもう新しい締具(チロリアだっけ?)に変えていた。
大雪の後の「雪掘り」を見る
辰ヶ平集落からやや登り返して塩ノ又へ、地図に温泉の印があるが、調査する余裕なし。どちらの集落でも、昨夜まで降った雪を降ろす作業中。雪下ろしと言っても、2階の屋根からは木製の樋で雪のブロックを滑らせているが、下屋の屋根は積雪の方が高いから、掘った雪を放り上げないといけない。これは見るからに重労働で、しかも働いているのは「3ちゃん」すなわち、じいちゃん・ばあちゃん・かあちゃんだけ。藁沓・蓑・傘の3つ道具で、ワックスを塗り込んだ木製の鋤のようなスコップのような道具でブロック状の雪を放り上げている。雪下ろしとは言わず、雪掘りというようだ。大雪の後だったおかげで、スキーとしては苦労したが、真冬の厳しい豪雪地帯の現状や、この地方の民家の構法については、詳細に観察することができたのは収穫。
悪戦苦闘の末なんとか日帰り
深い新雪のラッセルに苦労して、大沢峠に辿りつき、滑降開始したのは既に16:50、真冬だからもうすぐ夜だ、ちょっと焦る。峠からは林道を辿らずやや左手よりの斜面を下ってみたが、もうブレーカブルクラスト状態になっていて、すこぶる滑りにくい。こんなに苦労して・・・という気持と、いやあ渋いですなあ、という気持が入り交じる。悪戦苦闘の末、大沢山集落に着き、踏み跡を辿って道路へ出た時は暗くなっていた。交通機関は無いから、大沢駅まで5〜6km歩く必要がある。道路の踏み固められた雪を滑って下るが、途中の工事現場から先は除雪されており、アスファルト道路に残った雪を拾いながら、時々雪の切れ目をジャンプしたりして強引に滑る。スピードが出てスキーを開いて制動しようにも、雪にはそんな幅が無い。やむを得ずスキーを開くとアスファルトの路面にエッジが擦れて、既に暗くなっているから火花が飛ぶ。大沢駅に文字どおり「辿りついた」ら、もう真っ暗だった。駅でKセンターのS井課長(登山家)に会った。各停で高崎、ちょっとだけ急行に乗って、何とかその日の内に帰れた。
●交通費メモ
大沢→都区内運賃・1080円に「運賃変更」のゴム印
高崎から急行券・100km以内400円