針ノ木へマヤクボから登頂、行きはよいよい帰りは恐怖
日程:1987(昭和62)年5月1日(金)〜2日(土)
参加者:NABE、N村
コース:大学→新宿→大町→扇沢(泊)/針ノ木岳→扇沢→大町→新宿
1987.5.1(金)小雨(東京)→晴(大町)
東京は小雨だったが、大町は晴れていた。タクシーで扇沢ロッジへ22時すぎ着。この宿も何度か来たが、最初は木造の中庭型の四角いプランの宿舎で、黒四建設の際の幹部宿舎だった時代そのままで、夜になると集会室(畳)で黒四建設の16mm映画(超雨降り)をやったし、集会室には卓球台があって為す事なきまま卓球に打ち興じたものだった。しかし来る度に新館の建設が進み、今年はいよいよ旧館は(灯りは点いていたが)営業には使っていない。今年の秋に取り壊すそうだ。何だか歴史が消されていくようで寂しい(そう言えば、奥只見丸山スキー場も、最初は奥只見ダム建設宿舎そのままで、食堂の本棚には垢にまみれた本があったが、行く度に新館に建て替わって行った。)。宿の夜の番人(中〜老年)は、何だか素人くさく、もと電力会社OBって感じ。若い男2名もいたが、好感が持てた。浴室は温泉ではない筈だが、24時間どうぞと言われた。既に宿はひっそり寝静まっている。ドラゴンツアーだかの70人が泊っている。
1987.5.2(土)晴→曇
朝早く、偵察を兼ねて扇沢ロッジの近辺を散歩する。天気は明らかに下り坂。朝食はプアーで、お昼のおにぎりも「ミニサイズ」で、これじゃ腹が減ってしまいそう。
さて、針ノ木にはいつももう少し遅い時期に来ていたので、今回は早いからまだ雪が多いだろうとの判断で、扇沢ターミナルのロッカーから兼用靴(コフラック・ヴァルガ)に履き替えた。結果的に大正解で、10分歩いたら砂防ダムで、そこからもう雪だった。これは昨年できた砂防ダムで、大沢小屋のあたりまで来ている。当然そこまで林道が来ている。また沢がダムで寸断されているから、残雪が多くても沢の脇を滑るしかなさそう。
大沢小屋あたりで神奈川大のスキー部が練習している。登っているのは他に1パーティーで、夕方2パーティーに会っただけ。さすがに今日は空いている。
今回は峠には行かず、マヤクボを登ってみる。崚線に着くと縦走者が1名いた。雪の付いている一番高い位置にスキーを置いて、頂上へ。岩をトラバースして登山道へ出て、しばらく行くと急な斜面のトラバースだが、先に行く若者が単独行で緊張している。我々もそのあとを辿るが、帰りがちょっと心配、でも何とかなるだろう。山頂ではもう曇ってきて、あまり見晴らしは良くなかったように記憶する(写真見ないと)。
さて下り。尾根の上にある夏道を下りたいところだが、やはり雪に埋まっていて、さきほどの難所を行くしかなさそう。さっきは簡単に登ってきたなかば凍った斜面のトラバースだが、下りとなると、何だか足がすくんでしまうほど急に感じる。こんなに怖いとは思わなかった。アイゼン無しの兼用靴だけで、ピッケルも無いし、同行のN村君たら手袋もスキーデポに置いてきたという。ここで滑落したらそのまま雪面からガレ場を数百滑落して黒部湖にぼちゃん、である(ちょっとオーバー?)。完全に四つん這いになって、ストックをまとめて水平に雪面に置き、足をつま先から強く蹴り込むとステップが切れ、何とか安全に下れそう。しかしこれでは時間がかかる。もたもたしていたら、後から来た男女3人パーティーが追い付いてきて、さっさとザイルを張ってしまった。他人のザイルに勝手に掴まる訳にもいかないから、目の前のザイルを無視して(でも何かあったらすぐ掴まれるように)のろのろと1歩ずつ蟹の横這い。N村君ったら、この緊張の極みみたいな状況でカメラ(ニコンの青カリブ)を出して写真を撮っている、余裕、偉い!。ザイルを人の目の前に勝手に張って、それでいて「どうぞお使い下さい」とも言わないのも困った奴らだ。我々が先にこの斜面に入ったんだから、待ってやることもないから、仕方なく我々のペースでトラバースしていたら、このパーティーのリーダー格の男が「お〜い、まだか〜」なんて言ってる。我々に行く手を塞がれた残りの2人が(まさか目の前で「アイゼンもピッケルも無い馬鹿が2人いるんですよ〜」とも言えず)困っていた(笑)。
難所を何とか乗切って、デポ地点へ。しかし今回はかな〜り緊張しましたね。さて滑降。スキーで滑りだせばもう怖いものは無い。滑りだす頃はもうすっかり曇ってきた。40゜近い斜面でまだ雪が締まり切っていないから、スローモーションの表層雪崩を自分で起こしながら、それに邪魔されて滑る、といった状況。ま、この時期で気温が高いとたいていそうなるんだが。
マヤクボの下まで来て一休みしていたら、もう泣きだしそうな空の下を今頃からシールで登ってきた男女カップル(の女性の方)が、「一番おいしいところですからね〜」などと羨ましそうに声を掛けてきた。しかしこの「おいしい」という表現が何だかひどく俗っぽくて嫌だった。
あとは「ノド」あたりまで超快適な滑降で、その下はいつものとおりデブリを避けながらの滑降。だいぶ下まで雪があったので、砂防ダムが邪魔臭いが右岸をへつりながら最後まで滑って、スキーを脱いで10分も歩いたら扇沢。バスで大町、各停で松本、特急で新宿へ戻った。帰路は当然酒盛り。
○時間メモ:
07:05ロッジ出発、07:15扇沢(コインロッカー)
07:30出発→07:46砂防ダムから雪の上、08:15〜20大沢小屋下第6ダム
08:55約1800m地点、10:01〜17マヤクボ下、12:20マヤクボの峠下30m、12:51マヤクボ上でスキーデポ
13:25〜32頂上、途中で恐怖の下り、14:13〜27デポ地点へ
14:27〜15:10滑降(途中で1回スキーを脱ぐ)、15:25扇沢着
15:55のバス→16:25大町、16:32→17:37松本17:41→(あずさ40号)→新宿
●メモ:
合計147440円
・内訳(主要な費目だけ):
交通費17440
乗車券:都区内・信濃大町(片道)4400円
タクシー:大町→扇沢3790円
バス:扇沢→大町1150円
扇沢ロッジ(1泊朝食+おにぎり)6600円/人