【内容】
60年代のある日、スザンナはアスピリンを1瓶とウォッカを1本飲み、病院にかつぎ込まれた。
決して自殺するつもりではなく、頭痛を治したかったからだと医者に告げる。
両親の同意のもと、彼女はクレイムアという精神病院に入院することになった。
父親は、パーティで娘のことをなんと言えばよいのかと心配し、母親は泣きながら見送るだけであった。
恋人のトビーも彼女の気持ちを理解してくれていない。
高校の同級生たちはみな大学へ進んでいく。
父親の友人の大学教授に言われるまま寝たこともあり、1度きりのつもりが、しつこく会いたいと言ってくる。
スザンナが病院に着くと、ヴァレリーという看護婦が迎えてくれた。
そして、入院の同意書にサインさせられる。
しかし彼女には自分が病気であるという自覚はなかった。
クレイムアには様々な患者がいた。
アトピーを気にして顔にガソリンを被って火を付けたというポリー。
ルームメイトのジョージーナは普段は何でもないのだが、病理的虚言症であった。
脱走して警察に保護されたというリサは、スザンナを見ると、何でここにいるのかと詰問する。リサはみんなに一目置かれているリーダー格であった。
リサのいない2週間のうちに、彼女の親友が自殺していた。スザンナはその空いたベッドに入っていたのだった。
そして、部屋の前に”進入禁止”の張り紙をして、ローストチキンしか食べないデイジー。
まだ10時30分だというのに、睡眠薬を飲まされ、さらに定期的に安否のチェックが入る。風呂にはいるのにも監視が付く。
スザンナはここでの生活に馴染めないでいた。
しかし、リサに教わり、薬を口の中に隠すこともできるようになり、また患者たちと徐々に親しくなっていった。
隠した薬を交換したり、深夜、監視の目を盗んでボーリングしたりして、友達となっていった。
ボーリングの後は診察室に忍び込み、自分のカルテを盗み読む。
気分不安定、目標不明確、衝動的、カジュアル・セックス、自傷行為、反社会性と悲観的態度・・・。医者がスザンナに下した診断結果は、”境界性人格障害”であった。
その病名は、回復の傷害になるとして、彼女には告げられていなかった。
月日は流れ、スザンナは病院の生活に慣れていった。
雪の積もったある日、看護婦に連れられて、アイスクリームを食べに街に出る。
そこには、父親の友達の大学教授の妻と娘がいた。
スザンナは身を隠すようにしていたが、夫人に見つかり、声を掛けられる。そして彼女は一生入院していなさい、と吐き捨てるように言う。
友人の危機を知ったリサたちは、その親子を追い払った。
彼女たちは、スザンナにとってのかけがえのない友達となっていたのであった。
その翌日、デイジーが退院していった。
また、恋人のトビーがスザンナを訪ねてきた。トビーは徴兵されてベトナムに送り込まれるところだった。
彼はスザンナに、一緒にカナダへ逃げようと誘うが、スザンナの方はその気になれなかった。
スザンナの恋人を見て、ポリーが騒ぎ出した。自分の焼けただれた顔を触り、自分には恋人が出来ないと暴れ出したのだった。
ポリーは押さえ込まれ、閉じこめられた。リサは婦長に睡眠薬を飲ませ、スザンナと共にポリーの部屋の前で歌う。
翌日、リサは別棟に移された。
その夜、リサがスザンナのもとに現れた。一緒に脱走しようと言う。
二人は病院の外へ出ると、ヒッチハイクをして逃げ出すことに成功した。
そして、退院したデイジーを訪ね、一晩泊めてもらうことにした。
デイジーは退院はしたものの、けっして良くなったわけではなかった。
もう幻覚を見なくなったと嘘を付いて退院し、腕にためらい傷をたくさん付ける。
そんな彼女を、リサは容赦なく攻撃する。デイジーは軽く聞き流しているようにも見えたが、内心ではショックを受けているのが分かった。
翌日、スザンナが朝食を買いに行って戻ると、リサはまだゆっくりとしていた。デイジーが降りてきた様子はなく、二階からは同じレコードの音楽が繰り返し流れてきている。
心配になったスザンナが階段を上ると、部屋には誰もいなく、レコードプレイヤーだけが繰り返し音を鳴らしていた。
不審に思い、さらにデイジーを呼びながら浴室の扉を開ける。そこには変わり果てたデイジーの姿があった。
スザンナは警察を呼び、リサはデイジーの服からお金を奪って逃げた。
クレイムアに戻ってくると、スザンナは友人の死を真剣に考え始めた。
この1年を無駄に過ごしてしまったことを悟り、自分の気持ちを素直に語り出す。
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