【内容】
西暦180年のヨーロッパ。
ローマ帝国は勢力を拡大し続け、世界の人口の4分の1を支配下に入れていた。
北の戦場には、将軍マキシマスがいた。
五千もの兵を従えて勇敢に戦い、いくつもの勝利をもたらしてきた男は、この日の戦いでも、皇帝マルクス・アウレリウスの目の前で、完全なる勝利を手にする。
兵の志気を高め、馬にまたがって自らも敵陣に討って出るその姿に、兵士達は全幅の信頼を置いていた。
マキシマスが忠誠を誓うのは皇帝だけ。そして、その皇帝からも、もちろん信頼されている。
そんな彼の願いは、故郷に帰ること。戦争を止め、兵士達と共にローマへ帰り、故郷で待つ妻と息子に会い、畑仕事に精を出すことであった。
戦場に、皇帝の息子のコモドゥスと姉のルシラが駆けつけた。
彼らは皇帝に呼ばれたのであった。
ローマ帝国の最盛期を支え、しかし、もう10年も病と闘っている父に対し、コモドゥスは策略を巡らすような器しかなかった。
夜は勝利の宴会であった。皇帝はルシラのところへとやってきて、おまえが息子だったら、と口走る。
そして、皇帝はマキシマスを呼び出し、次期皇帝になってくれるように頼む。
故郷に思いを馳せていたマキシマスは、即答を避け、考えさせてくれと言う。
皇帝のもとから立ち去ろうとしていたマキシマスにルシラは近づき、昔の恋の話をする。
マキシマスは取り合わず、お互いに息子を持つ身になったと言うことだけを話した。
皇帝は、息子のコモドゥスにマキシマスを皇帝にすると告げた。
コモドゥスは、自分がどんなに父を愛しているかを話し、涙ながらに父の息の根を止める。
次の朝、マキシマスは皇帝が死んだことを知らされた。
すぐに駆けつけたが、彼には皇帝が殺害されたことが解った。
そして、新皇帝コモドゥスに背を向け、その場を立ち去る。
コモドゥスはマキシマスを捕らえさせ、処刑を命じた。
妻子もろとも、死ぬことを告げる。
森の奥深く、マキシマスは殺されようとしていた。
だが、まさに剣が突き刺さろうとした瞬間、逆に執行人達を殺し、彼は逃げ出すことに成功した。
マキシマスも傷を負っていた。
フラフラになりながらも、彼は故郷を目指した。
しかし、我が家で彼が見たものは、火で焼かれ、天井から吊された妻と息子の姿であった。
二人を埋葬し、マキシマスは力尽きて気を失う。
気が付くと、彼は奴隷商人に捕まり、運ばれていた。
隣には、同じく奴隷となった黒人ジュバがいて、彼の傷を見てくれていた。
一行はスペインの奴隷市場へやってきて、マキシマスとジュバは奴隷商人のプロキシモに買われた。
プロキシモは、闘剣士(グラディエーター)を養成し、闘技場での戦いを見せ物にしていた。
マキシマスは生きる希望失い、剣を取らなかった。
そんな彼でも、プロキシモは闘技場へ引っぱり出し、闘わせようとした。
マキシマスはジュバと鎖で繋がれ、完全装備の敵の前に出された。
生きるために、彼は戦い、敵を全滅させ、観衆からの喝采を浴びる。
一方、ローマに戻ったコモドゥスは、元老員と対立する。
姉に対して肉親以上の愛情を抱き、野心に満ちあふれていた。
また彼は、父が5年前に中止した、円形コロシアムでの闘技を再開した。
スペイン人と呼ばれ、闘技場の英雄となっていたマキシマスは、再びコモドゥスに会う機会を与えられた格好となった。
彼はマスクで顔を隠して試合に臨む。
だが、今度の敵は今までにない強敵であった。
馬車の横には剣が張り出し、弓矢や槍を持った兵士が、スペインからの剣闘士を皆殺しにしようとする。
剣闘士達は団結し、順番に敵をやっつけていく。
その勇姿は皇帝コモドゥスの心をも打った。
すべての闘いが終わり、マキシマス達はまだ闘技場に立っていた。
そこへ、皇帝が降りてきて、剣闘士達に面会を求めてきた。
マキシマスにも名を名乗るように促す。
マスクを取り、振り向いた顔に、皇帝は驚く。
だが、ローマ市民の英雄を殺すことは出来なかった。
ルシラは、自分のため、そして自分の息子のために、マキシマスを助けようとするが、復讐に燃えた彼はけっして彼女を信用しようとはしなかった。
コモドゥスは、処刑されたと思っていたマキシマスの存在に恐れおののき、卑劣な手段を使って彼を殺そうとする。
次の試合の相手は、5年前までの闘技でもっとも強かった男で、更にマキシマスだけを狙うように、鎖に繋がれた虎が数匹用意された。
虎は、鎖を使って用心深く操作され、マキシマスを襲う。一方の相手は、さすがに強かった。
しかし、マキシマスは襲ってきた虎を一頭殺し、隙を見て相手の足に剣を立てることに成功した。
皇帝は敗者を殺すように指示するが、マキシマスは彼に慈悲を掛け、ローマ市民はマキシマスの慈悲を支持した。
そんな中、マキシマスはかつての部下が近くの戦場で戦っていることを知った。
側近のキケロとも再会し、彼が伝令役となってくれた。
マキシマスはルシラにも伝言を頼み、元老員のグラックストの面会を求める。
そして、ローマから逃げ出し、五千の兵士を連れて戻ること、コモドゥスを殺すが自分は皇帝にならずにグラックスらに政治は任せること、を誓う。
だが、計画は意外なところから皇帝の元に漏れた。
コモドゥスはルシラの息子から裏切りを知ったのだ。
すぐにルシラはマキシマスを逃がそうとするが、闘いむなしく彼は捕まってしまう。
マキシマスの最後の相手は、皇帝自身であった。
コモドゥスはマキシマスの背中を刺して致命傷に近い傷を与え、その上に甲冑を着せてから試合に臨む。
そして、最後の闘いが始まった。
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