ツインバスケットボールについて
車椅子ツインバスケットボールは、下肢のみではなく、上肢にも障害を持つ重度障害者でも参加できるように考案されたスポーツです。これまで車椅子バスケットボールをやりたいと思っていても、ボールが正規のゴール(高さ3.05メートル)にシュートしても届かないとか、その早い動きについて行けないとか言った理由で参加できなかった人がたくさんいます。そういった人たちにとってこの車椅子ツインバスケットボールは、まさに画期的なスポーツの誕生となりました。
その最大の特徴は、名称の通り"ツイン"つまり二組のゴールが設けられているというところにあります。従来の車椅子バスケットボールに使用されている正規のゴールの他に、もう一つの低いゴール(高さ1.20メートル)をセットし、正規のゴールまで届かない選手のためのゴールとしました。さらにその周囲には3.6メートルの円(フリースロー・サークル)があり、シュートする選手を円外と円内に区別しました。そしてこれらのことによって、それぞれの選手が自分の障害に応じてシュート方法が異なり、独自の役割をゲームにおいて果たすことができるようになったのです。
この競技において最も勝敗を左右するのは、選手間のパスワークです。お互いの障害の状態をしっかり把握し、それに応じた正確なパスが必要です。そのためには、日頃の練習の時からお互いに声を掛け合いプレイで意志を通じ合わせるよう心掛けることが重要なポイントとなります。ゲームをご観戦される場合に、各チームの選手たちが如何に声を掛け合い、励まし合いながらプレイしているかを見ていただければ幸いです。
ルールの主な紹介
車椅子ツインバスケットボールのルールは、一般車椅子バスケットボールとほとんど変わりません。ゴールが2組(ツイン)、30秒ルール、ショット区分が3通りあるなどの、ツインバスケットボール独自のルールをご紹介します。
コート、ゲーム器具
コート・・・・・健常者と同じ広さで、ラインの引き方も全く同じです。
ゴール・・・・・通常の上ゴール(3.05m)とフリースロー・サークル中心の床面に置くゴール(1.20m)の2組を使用します。
ボール・・・・・5号球のゴム製バスケットボールを使用します。指機能・握力の全廃、著しい低下のため、皮革ボールは滑るからです。
個人持ち点およびチーム合計持ち点
選手個人の残存機能レベルのハンディを調整するため、レベルに応じて1.0〜4.5点の個人持ち点があり、5人のチーム合計持ち点が11.5点を超えてはいけません。しかし、5人の中に45歳以上の選手がいる場合にはシニアハンディが適応され、合計持ち点が12.0点まで認められます。但し、複数名いても12.0点を超えてはいけません。また、コートでプレイする個人持ち点が4.0点以上の選手は1人までと制約があります。
ショット区分およびヘアーバンドの色
機能レベルに応じてショット区分が3種類あり、ショット区分に応じてヘアーバンドの色を分け、決められたショット区分でショットしなければなりません。
ショット区分 |
個人持ち点 |
ヘアーバンドの色 |
|
上ゴール |
上シューター |
3.0〜4.5 |
なし |
下ゴール |
円外シューター |
2.0〜3.5 |
白色 |
円内シューター |
1.0〜2.0 |
赤色 |
*円内シューター・・・・・フリースロー・サークルの内からショットする。
時間ルール
一般車椅子の選手(胸・腰椎)に比べて頸髄損傷者は動作が遅いため、フリースロー、スローインなどの5秒ルールは同じですが、他は以下の時間になっています。
制限区域の 3秒ルール・・・・・8秒に8秒ルール・・・・・・・・・・15秒に
24秒ルール・・・・・・・・・・30秒に、なっています。
ドリブル
1回のドリブルで車椅子を2回までプッシュ(漕ぐこと)ができ、ボールを保持していない(ボールに触れていない)ときは、車椅子を何回でもプッシュすることができます。ダブルドリブルはありません。
正規のドリブル(床に弾ませること)が機能的に出来ない選手(赤のヘアーバンド)のために、ボールを両手で胸以上の高さに持ち上げる動作で認められます。
持ち点2.0以上の選手(ヘアーバンドが白色、なしの選手)のサークル内での可能なプレイは、通過、ルーズボールのピックアップなどが許され、円内にいる選手に対してディフェンス、オフェンス行為は全てできません。