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2017年 ゼミ旅行・施設見学会の記録
(石川県庁・金沢市観光)

【ゼミ旅行の行程】

9月19日(火)特急サンダーバードで金沢へ。兼六園、金沢城などを散策。

9月20日(水)石川県庁の訪問・見学
・ビデオ視聴→県議会議場傍聴席の見学→災害対策本部室→庁舎展望ロビー
・県職員の方からのお話(志賀原発・石川県のエネルギー政策について)

昼食後、ひがし茶屋街。解散し、予算等に応じて特急または一部特急で帰京。  

  【金沢の印象】(教員・村上弘)
*AMAZONでの『金沢を歩く』 (岩波新書)へのレビュー拙稿を、一部修正。

  これで5回、金沢を訪ねました(ゼミ旅行では2回目)。
 街づくり、景観保全が立派で、市民や関係者のご努力のたまものだと拝見しました。兼六園の緑地史跡を、金沢城復元で2倍以上に拡張した政策などは、京都などと同じく、レベルが高いと思います。

 他方で、強い印象に残る風景も、いくつか発見しました。

 1.駅前の鼓門はエイリアンの遺跡?
 この巨大な駅前モニュメントの意味が「謎」だったが、今回やっと分かったような気がしたのは、収穫だった。
「人類が造ったとは思えないモニュメント」ではないか。ちょうど映画『エイリアン』に出てくる、異星人のクロワッサン型宇宙船のような。
 金沢の伝統文化を象徴する「太鼓」と、伝統技術を象徴する木材のねじれ加工の組合せで、来訪者をおもてなしする、という解説もあるようだ。しかしそのコンセプト・デザインをスケールアップしたことで、意味は変容を起こし不明になった。だから鼓門を見ると、頭がクラクラし、強烈な異文化を感じるのだろう。金沢は特別な街だ、ということだ。
 個人的には、福井駅前の恐竜モニュメントの方が、世界と自然へのすなおな畏敬の念があって、好きです。

 2.香林坊のヨーロッパ的風景
 香林坊はメインストリートで、その北側には明治からの繁栄を記録するレンガ建築が保存され、瀟洒な教会がある。西側に入ると整備された飲み屋街で、古いカフェを利用したイタリアンピザの店を見つけ、ワインを飲んでいたら、ヨーロッパに来た気分だった。
*学生のみなさんはホテルの大部屋で、深夜まで健全におしゃべりしていたようです。

 3.飲み歩きは夜11時まで
 ただし、そのあと駅前のホテルなどに戻るなら、最終バスは11時と早いので気をつけなければならない。
 道路にタクシーが並んでいる様子も、観察した。運転手さんによれば、「香林坊から駅前に活気が移っている」とのこと。

 4.市内の公共交通はバスだけ
 郊外電車はあるが、福井や富山の魅力的なトラムのように市内に乗り入れていないのは、不便で残念なことだ。
 人口50万人の都市では、国交省の補助金がもらえる地下鉄は建設できないのだろう。
 市内の公共交通は路線バスと、観光用の巡回バス(ありがたい)だけなので、たいへん混雑する。ただし駅から近江町市場、香林坊までは、各種の路線バスの本数が多いので、そこで降りて、距離によっては歩いた方が快適だ。

 5.郊外スプロールと超高層県庁からの眺望
  駅から路線バスで北へ向かうと、「副都心」として超高層ビルの県庁がそびえ、最上階は展望ロビーで、カフェや市民のミーティングの場も設けられている。
 ここから金沢の周辺の風景を眺望すると、勉強になる。南の堂々たる白山、北の日本海(その彼方には北朝鮮)、そして足元には、地方都市郊外のスプロールが観察できる。実際に朝早く少し散歩してみると、道路や街灯は整備されているが、農地、住宅、飲食店、工場、安価な温泉付きホテル(今回の宿泊施設)などが混在し、また自動車でないと行きにくい地域だ。スプロール型の都市化は、日本やアメリカでは一般的だが、金沢の場合、中心市街地が保存整備されているだけに、それと対照的でとくに強い印象を受けた。

 6.ひがし茶屋町
 伝建地区として保存され、外国人を含め観光客が多い。
 京都・祇園との違いは、建築様式がかなり多様であること。この金沢の伝建地区の方が、江戸時代の街の本当の様子を味わえるような気がする。(祇園は高級遊郭街として、建物デザインの統一に気を配っていたのかもしれないが。)
 また祇園のお店は格式(と値段)が高そうだが、金沢のここのお店は気軽に入れる。
 「自由軒」というリベラル派が好きな名前の、ゼセッション風装飾がすてきな洋食店に、次回は入ってみたい。
 元「遊郭」街の意味を、学生さんに説明するのに少し苦労した。小さな神社の前では、「女性労働者がお参りした」と説明しておきました。